外貨預金にかかる税金
平成26年度(2014年度)版について記載。
ページ内目次:
■ 外貨預金から発生する損益
外貨預金から発生する損益には、利子と為替差損益があります。
外貨預金では、あらかじめ満期の為替レートを設定できる為替予約というものがあります。
予約レートを設定しているかどうかにより、為替差益の取り扱いが変わってきます。
■ 為替レート
外貨で運用している場合、通貨を換算するための為替レートが重要となってきます。
為替レートには、TTSとTTBという為替レートが使用されますが、その基準となるのは仲値です。
仲値は、銀行ごとに異なり、9:55ごろに決定されます。
また、銀行によって、取引通貨ごとにTTSとTTBに違いがあります。
■ 利子と為替差損益の関係
利子と為替差損益の関係は以下のようになっています。
為替予約をしている場合は、満期時のTTBのところを満期時の予約レートとしてみてください。
■ 外貨預金の利子の取り扱い
◆ 税法上の取り扱い
外貨預金の利子は、利子所得として扱われます。
◆ 課税方式と税率
利子所得は、源泉分離課税となります。
利子所得については、利子が支払われるときに、20%(所得税15%+住民税5%)の源泉徴収が行われ、そこで課税関係は終了となります。
確定申告は不要です。
ただし、東日本大震災による特例により、平成25年から平成49年までの25年間は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税
が加算されます。
よって、税率は、20.315%(所得税15.315%+住民税5%)となります。
◆ 利子所得の計算
利子所得は、以下の計算方法で求めることができます。
■ 外貨預金の為替差損益の取り扱い
◆ 税法上の取り扱い
外貨預金の為替差損益は、雑所得として取り扱われます。
◆ 課税時期
実際に満期や解約をしたときに為替差益が発生した場合は、雑所得として課税対象となります。
(自動継続の場合、課税のタイミングが異なることがあります。)
まだ預けている途中の外貨預金の利子、為替差益については課税されません。
◆ 課税方式と税率
予約レートを設定していた場合の為替差益については、源泉分離課税となります。
20%(所得税15%+住民税5%)の源泉徴収が行われ、そこで課税関係は終了となります。
確定申告の対象とはなりません。
※予約レートを設定している外貨預金の為替差益の取り扱いについては、平成17年4月の「源泉所得税の改正のあらまし」(国税庁)
に記載されています。
予約レートを設定していない場合の為替差益については、総合課税となります。
確定申告の対象となり、確定申告の際には、雑所得として計算します。
所得税については5〜40%、住民税については10%の固定の税率がかかります。
為替差損については、予約レートを設定していてもしていなくても課税されません。
為替差損がある場合、他に雑所得となるものがあれば、雑所得の計算の中でその損失を相殺することができます。
また、上記の所得税については、東日本大震災による特例により、平成25年から平成49年までの25年間は、所得税に対して2.1%の
復興特別所得税が加算されます。
◆ 為替差損益の計算方法
為替差損益の計算方法は、以下の通りとなっています。
■ 雑所得
◆ 雑所得となるもの
外貨預金の為替差損、予約レートを設定していない外貨預金の為替差益は、雑所得として計算します。
為替差損は、雑所得に該当する他の収入からその損失を相殺することができます。
為替差益が20万円を超えていても雑所得を計算した結果、20万円以下となり、確定申告が不要になることもあります。
雑所得として分類されるものとしては、以下のようなものがあります。
◆ 雑所得の計算
雑所得の計算は、公的年金等とそれ以外に分けて計算されます。
外貨預金の為替差損、予約レートを設定していない外貨預金の為替差益は、雑所得の計算の中では、
公的年金等以外の「その他」として計算をします。
雑所得の計算例
■ 確定申告について
◆ 所得税の確定申告
外貨預金では、為替予約を設定していなかった為替差益は雑所得として申告の対象となっています。
そして、実際に計算をしてみて納付すべき所得税額がある場合は、確定申告をしなければなりません。
「納付すべき所得税額」というのは、正確には、「所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合(法120@)」のことですが、
税額控除で配当控除以外は、外国税額控除や措置法による税額控除で、これらは申告することによって認められています。
ただし、サラリーマンにおいては、以下のような例外などに該当する場合、確定申告は不要となります。
無職の人や主婦、自営業者などは、サラリーマンではないのでこれには該当しません。
給与所得者について、給与・退職以外の所得が20万円以下であった場合
毎月、給料やボーナスから所得税が源泉徴収され、年末調整を行った給与所得者(派遣社員、契約社員、パート、
アルバイトふくむ)は、所得税の確定申告をする必要はありません。
ただし、年末調整を行った給与所得者でも、確定申告をしなければならない条件の一つとして、
「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
というのがあります。
つまり、「1つの会社だけから給料をもらっている人で、給料・ボーナス、退職金以外に収入がある場合、
それを所得(収入ではない)として計算した結果、20万円を超えていた時は、年末調整をしていても確定申告
しなければならない」
ということです。
逆に言えば、20万円以下ならば、確定申告はしなくても良いということです。
「給与所得及び退職所得以外の所得」としては、
株や投資信託の売買、信用取引、先物取引、FX、外貨預金などの金融商品から派生する収入だけでなく、
満期生命保険の一時金やオークションでの売買、懸賞金、土地や建物の売却なども該当します。
これらを、それぞれ該当する所得の中で所得金額を計算し、その合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要となります。
よく株で20万円を超えて儲かったら確定申告が必要だといわれるのは、この条件のことです。
ただし、確定申告が不要な条件としては上記以外にもあります。
たとえば、「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は、上記に該当していても確定申告は必要になります。
かならず、国税庁のHPなどで確認をしてください。
参考HP :
国税庁 タックスアンサー (No.1900 サラリーマンで確定申告が必要な人)
◆ 住民税の確定申告
住民税については、上記のような特例はありません。
利益があれば、確定申告の対象となります。
■ FXとの比較
同じリスクでやるのであれば、FXでレバレッジ1倍で運用したほうが断然有利です。
外貨定期預金のメリットがあまりにも微々たるもので、とてもやる気にはなりません。
税金のことを考えても、外貨定期預金は必ず源泉徴収されますが、FXであれば、場合によっては非課税となります。
また、取引業者が倒産した場合のリスクにおいても、外貨預金はペイオフの対象外ですが、
FXの場合、顧客からの預入金を完全信託保全としている場合はそのリスクは低くなくなります。