配当にかかる税金

平成21年度(2009年度)版について記載。
平成22年度は、上場株式等の配当や株式投資信託の収益の分配金の受け入れ先として特定口座の源泉徴収口座を
指定することができるようになりました。これによって、源泉徴収口座内で「上場株式等にかかる譲渡損失との損益通算」
が自動的に適用されるようになります。


■ 税法上の取り扱い

配当金は配当所得として取り扱われます
株の配当以外に配当所得となるのは、上場投資信託(ETFなど)、不動産投資信託(J-REIT)、
株式投資信託の収益の分配(ただし特別分配は非課税)があります。



■ 配当の区分

配当は、「上場株式等」と「上場株式等以外」の2つに区分されます。
この2つの区分によって、配当所得の計算方法や税率、申告方法の適用が異なってきます。
また、配当所得では、上場株式等に対して「発行済み株式総数の5%以上の株数等を保有している株主は除く」と
いう条件がついていますので注意してください。



■ 上場株式等の範囲

上場株式等の範囲は以下の通りとなります。
東京証券取引所 証券税制



■ 配当の源泉徴収

配当は、その受け取り時に、すでに税金が源泉徴収されています。
その源泉徴収される金額は、
となっています。



■ 配当所得の計算

確定申告を行う場合、配当は、配当所得として計算することになります。
配当所得がマイナスの場合、他の所得との損益通算はできません。


■ 確定申告について
注意:現在は平成21年度での税制を元に説明しています。

配当は源泉徴収されていますが、原則として確定申告しなければなりません。
配当を受け取った時点で税金は差し引かれていますが、確定申告により他の所得と一緒に計算して改めて納税額を決めるということです。

ただし、上場株式等、上場株式等以外の区分により、以下の選択肢があります。
確定申告不要を選ぶかどうかは、毎回配当金を受け取る度に決めることができます。
上場株式等について、総合課税にするか、申告分離課税にするかの選択は1度きりです。(各配当ごとの選択はできない)

各パターンの説明です。

@ 確定申告をする
  (1) 配当所得として計算し、総合課税とする。(原則)
   上場株式等、上場株式等以外ともに、原則は総合課税扱いです。

   この場合、
   他の所得(不動産、事業、山林、譲渡)に損失がある場合は損益通算ができます。
   それ以外の所得の損失との損益通算はできません。
   配当所得に損失がある場合も、他の所得との損益通算はできません。
   所得税の税率は、超過累進税率(5%〜40%)、住民税は10%です。
   配当控除を受けることができます。(注意!上場株式等と上場株式等以外のすべてが対象になるわけではありません)


  (2) 配当所得として計算し、申告分離課税とする。(確定申告時に選択)
   上場株式等については、総合課税ではなく申告分離課税を選択することができます。
   上場株式等以外については、選択できません。

   この場合、
   税率は、10%(所得税7%+住民税3%)です。
   他の所得との損益通算はできません。
   ただし、上場株式等の譲渡損失との損益通算ができます。
   配当控除は受けられません。


A 確定申告しない(申告不要制度)
  毎回、配当を受け取るたびに確定申告するのか、確定申告しないのかを決めることができます。

  上場株式等については、その配当等の金額によらず選択することができます。
  上場株式等以外については、配当等の金額 ≦ 10万円×配当計算期間(月)/12(ヶ月) という条件がついています。

   この場合、(当たり前ですが)
   他の所得との損益通算はできません。
   上場株式等の譲渡損失との損益通算はできません。
   配当控除は受けられません。


■ 上場株式等の配当にかかる特例
注意:現在は平成21年度での税制を元に説明しています。

上場株式等で、申告分離課税を選択した場合は、以下の特例を受けることができます。
(Aは上場株式等の売却損に対する特例ですが、関係があるので・・・)

@上場株式等の譲渡損失との損益通算
 上場株式等の売却等による損失(=上場株式等の譲渡損失)がある場合、
 確定申告を条件に、
 申告分離課税を選択した配当所得の金額から控除することができます。


A上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
 「上場株式等の譲渡損失」について、申告分離課税を選択した配当所得と「上場株式等の譲渡損失との損益通算」を
 行ったのにもかかわらず、その損失が残っている場合、
 確定申告を条件に、
 翌年以降3年間にわたって、その損失を繰り越すことができます。

 繰り越された損失は、
 (1) その年の非上場株式等の譲渡等の金額
 (2) その年の上場株式等の譲渡等の金額
 (3) その年の申告分離課税を選択した配当所得の金額
 の順番で控除することができます。




■ 配当控除
株式投資信託の収益の分配金に対しても配当控除を行う場合、計算方法が複雑となりますので、
その場合は、配当控除のページを参照してください。
このページでは、株式等の配当や国内ETFのみ配当控除を行う場合について説明をしています。



◆ 配当控除とは
配当の原資となる利益については、配当される前に会社側で法人税が課税されています。
さらにそれを配当するときに株主に対して所得税と住民税が課税されます。
つまり2重に課税されていることになります。
これを是正するために、配当控除が設けられています。
配当控除とは、税額控除のひとつで、所得税または住民税の計算において控除されます。


◆ 配当控除の対象となる配当所得
配当控除は、総合課税を選択した配当所得が対象となりますが、その中でも対象外となるものがあります。

配当控除は、国内に本店をおく法人の株式等や株式投資信託の収益の分配金が対象となっているため、
例えば、上場株式等に該当している外国法人の株式等にかかる配当や国外ETFなどは、配当控除の対象外となっています。
また、法人税が課税されていないJ-REITの収益の分配金も対象外です。


配当控除の対象になるかどうかは、国税庁のHPを参照にしてください。
参考HP : 国税庁 タックスアンサー No.1250 配当所得があるとき(配当控除)


◆ 配当控除の計算
このページでは、国内に本店を置く法人の株式等(上場しているかどうかは関係ない)と、国内ETFの収益の分配金以外に
総合課税扱いの配当所得はない場合の配当控除の計算方法を説明します。
その場合の配当控除の計算方法は以下のようになります。
課税総所得金額等とは、下図の緑字の位置における所得金額の合計額です。

◆ 配当控除の計算例