配当控除

平成26年度(2014年度)版について記載。
配当控除は、株式投資信託にかかる収益の分配金ある場合、計算式が複雑になります。
そのため、株式等にかかる配当等だけが配当控除の対象となっている人は、このページよりも、
配当にかかる税金 のページを参考にしたほうがわかりやすいと思います。


ページ内目次:
■ 配当控除とは ■ 配当控除の適用があるもの ■ 配当控除の対象となる配当所得の計算
■ 配当控除の計算

■ 配当控除とは

法人税と所得税(住民税)の二重課税を調整するために設けられた税額控除のひとつです。

配当の原資となる法人の利益に対しては、法人税が課せられます。
その配当原資を株主に配当する際に、所得税と住民税が源泉徴収されます。
ということで税が2重に課税されるのはおかしいというわけで、配当控除という形で株主へ還元するしくみとなっています。
もちろん、住民税でも配当控除の制度はありますが、控除額の計算が異なります。



■ 配当控除の適用があるもの

配当控除は、上場株式等なのか、上場株式等以外なのかという区分では判断していません。
二重課税されているかどうかが問題であるため、例えば法人税がかかっていない外国法人の株式等の配当や
J-REITなどは対象外となります。

配当控除の対象となるもの
受け取った配当について総合課税を選択した以下のもの
(特定口座を配当の受け入れとしたものであっても、総合課税として確定申告をした場合も含みます)
  @ 国内日本店がある法人の株式等の配当等
  A 国内ETF
  B 国内公募株式投資信託の収益の分配金(特別分配金は除く)
  C 特定株式投資信託の収益の分配金
  など

配当控除の対象とならないもの
  ・ 上記の@〜Cに該当していても、申告分離課税を選択したもの
  ・ 上記の@〜Cに該当していても、確定申告不要制度を選択したもの
  ・ 上記の@〜Cに該当していても、特定口座を配当の受け入れ先として申告不要を選択したもの
  ・ 外国法人から受ける配当等
  ・ 株式投資信託のうち、特定外貨建等証券投資信託に該当するもの
  ・ J-REIT(不動産投資信託)の収益の分配金
  ・ 信用取引にかかる配当金(正確には配当落調整金なので配当所得ではない)
  など

詳細については、国税庁のHPを参照してみてください
参考HP : 国税庁 タックスアンサー No.1250 配当所得があるとき(配当控除)



■ 配当控除の対象となる配当所得の計算


◆ 配当控除の中での配当所得の分類
まずは、配当控除の対象となる配当所得を計算しなければなりません。

しかし、配当控除は、株式等の配当等と株式投資信託の収益の分配金ではそれぞれ配当控除の率が異なります。
そのため、配当控除の計算の中では、配当所得を以下の3つに分けて計算します。

@ 剰余金の配当等(株式等の配当等、特定株式投資信託にかかる収益の分配金)
A 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託以外にかかる収益の分配金(下図の黄色の部分)
B 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託にかかる収益の分配金(下図のオレンジ色の部分)

株式投資信託は、配当控除の計算上、まず特定株式投資信託とそれ以外に分けます。
特定株式投資信託とは、信託財産を株式のみ投資対象としたもので上場している投資信託になります。
特定株式投資信託以外の株式投資信託については、投資信託約款上に記載されている外貨建て資産や
株式以外の金融商品の組み入れ率によって、3つに分類されます。

特定株式投資信託以外の株式投資信託を図で表すと以下のようになります。
特定証券投資信託は、外貨建等証券投資信託の一部(図のオレンジ色の部分)を含んでいることに注意してください。
また、特定外貨建等証券投資信託については、配当控除の適用がありません。


◆ 配当所得の計算
前述の通り、配当控除を計算する場合、配当控除の対象となる配当所得を3つに分類して配当所得を計算します。
  @ 剰余金の配当等(株式等の配当等、特定株式投資信託にかかる収益の分配金)
  A 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託以外にかかる収益の分配金
  B 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託にかかる収益の分配金

配当控除の計算の基となる配当所得は、以下のように計算されます。
配当等に対する源泉徴収額は、上場株式等(ETF , J-REIR含む)とそれ以外によって異なります。
その源泉徴収額は、収入金額に対して、
となっています。

ただし、平成25年からは、別途、復興特別所得税が所得税に対して2.1%加算されるようになっています。


◆ 配当所得の計算例
配当控除の対象となる配当所得の計算の例をあげます。



■ 配当控除の計算


まずは、配当控除の対象となる配当所得を、前述の通り、以下の3つに区分します。
  @ 剰余金の配当等(株式等の配当等、特定株式投資信託にかかる収益の分配金)
  A 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託以外にかかる収益の分配金
  B 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託にかかる収益の分配金


それぞれの配当所得に対する配当控除の率を適用し、その合計額を配当控除の額としますが、配当控除の率は、
課税総所得金額等が1000万円以下の場合、所得税(住民税)の配当控除額は、
  @ 剰余金の配当等 × 10%(2.8%)
  A 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託以外 × 5%(1.4%)
  B 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託 × 2.5%(0.7%)

課税総所得金額等が1000万円を超えると、越える部分については、
  @ 剰余金の配当等 × 5%(1.4%)
  A 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託以外 × 2.5%(0.7%)
  B 特定証券投資信託のうち、外貨建等証券投資信託 × 1.25%(0.35%)
となります。

ただ、その越えた部分と越えてない部分の計算が面倒です。
とにかく言葉での説明だと混乱しますので、図で説明させてもらいます。

◆ 課税総所得金額とは
配当控除で使用される課税総所得金額とは、所得控除適用後の、課税総所得金額、課税短期譲渡所得金額、課税長期譲渡所得金額、
上場株式等の課税配当所得の金額、株式等にかかる課税譲渡所得等の金額、先物取引等にかかる課税雑所得等の金額の合計額です。

下図で言えば、課税総所得金額等から課税山林所得金額と課税退職所得金額を除いた金額になります。

通常、課税総所得金額とは、総所得金額から所得控除適用後の金額の事を指しますが、配当控除では異なります。


◆ 所得税の配当控除の計算例 (住民税の配当控除は省略)