カバードワラントにかかる税金

平成26年度(2014年度)版について記載。
カバードワラントの税制が、平成24年度(2012年)から大きく変わりました。

ページ内目次:
■ カバードワラントの分類 ■ 税法上の取り扱い ■ カバードワラントと他の金融商品との関係
■ 確定申告について ■ カバードワラントの税金 ■ 所得計算全体の流れ

■ カバードワラントの分類

現在、カバードワラントは以下のように分類することができます。(FXっぽい)



■ 税法上の取り扱い

カバードワラントは上記のように分類されますが、平成24年度(2012年)の税制変更で店頭カバードワラントが
「先物取引に係る雑所得等」に変更されたことによって、すべてのカバードワラントが同じ所得区分となりました。

また、「先物取引に係る雑所得等」には、取引所FX(くりっく365や大証FX)、店頭FX、取引所CFD(株365)、店頭CFD、
先物取引(日経225、日経225ミニ、商品先物など)、オプション取引(日経225、TOPIX、個別株など)などが該当し、
これらの損益と通算することが可能となりました。



■ カバードワラントと他の金融商品との関係

それぞれの金融商品から発生する所得の区分を以下の表にまとめてみました。

各所得区分に該当するもの同士は、損益通算が可能です。
たとえば、FXの利益とカバードワラントの損益とCFDの利益は損益通算できます。

しかし、総所得金額、株式等の譲渡所得等の金額、先物取引にかかる雑所得等の間での損益通算できません。




■ 確定申告について


◆ 所得税の確定申告
基本的に、納付すべき所得税額がある場合は、確定申告は必要です。

「納付すべき所得税額」というのは、正確には、「所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合(法120@)」
のことですが、税額控除で配当控除以外は、外国税額控除や措置法による税額控除で、これらは申告することに
よって認められています。

ただし、サラリーマンにおいては、以下のような例外などに該当する場合、確定申告は不要となります。
無職の人や主婦、自営業者などは、サラリーマンではないのでこれには該当しません。 

給与所得者について、給与・退職以外の所得が20万円以下であった場合
  毎月、給料やボーナスから所得税が源泉徴収され、年末調整を行った給与所得者(派遣社員、契約社員、パート、
  アルバイトふくむ)は、所得税の確定申告をする必要はありません。

  ただし、年末調整を行った給与所得者でも、確定申告をしなければならない条件の一つとして、
  「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
  というのがあります。

  つまり、「1つの会社だけから給料をもらっている人で、給料・ボーナス、退職金以外に収入がある場合、
  それを所得(収入ではない)として計算した結果、20万円を超えていた時は、年末調整をしていても確定申告
  しなければならない」
  ということです。
  逆に言えば、20万円以下ならば、確定申告はしなくても良いということです。

  「給与所得及び退職所得以外の所得」としては、
  株や投資信託の売買、信用取引、先物取引、FX、外貨預金などの金融商品から派生する収入だけでなく、
  満期生命保険の一時金やオークションでの売買、懸賞金、土地や建物の売却なども該当します。
  これらを、それぞれ該当する所得の中で所得金額を計算し、その合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要となります。
  よく株で20万円を超えて儲かったら確定申告が必要だといわれるのは、この条件のことです。

  ただし、確定申告が不要な条件としては上記以外にもあります。
  たとえば、「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は、上記に該当していても確定申告は必要になります。
  かならず、国税庁のHPなどで確認をしてください。

参考HP :  国税庁 タックスアンサー (No.1900 サラリーマンで確定申告が必要な人)

◆ 住民税の確定申告
住民税については、上記のような特例はありません。
利益があれば、確定申告が必要となります。
とはいえ、所得税の確定申告を基に住民税も計算されますので、20万円以下だったので所得税の確定申告しなかった人が
住民税だけ確定申告するって・・・聞いたことがありません。



■ カバードワラントの税金


◆ 税法上の取り扱い
上記でも説明していますが、カバードワラントの売買による損益は、「先物取引に係る雑所得等の金額」(正確には、
「先物取引に係る業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額」)になります。

よく「雑所得」とだけ書かれていますが、それだと総所得金額のひとつの雑所得と混乱して正確ではありません。

この所得に区分されるものは、カバードワラント、FX、CFD、商品先物、有価証券先物取引、オプション取引があります。

同じ所得区分になりますので、それぞれの取引の損益を通算(合算)することができます。
(たとえば、FXの損失100万円とカバードワラントの利益100万円を損益通算すると、課税対象は0円となる。)


◆ 課税方式と税率
課税方式は、申告分離課税となります。
申告分離課税とは、確定申告時に他の所得とは分けて計算し、特定の税率をかけて課税する方法です。
取引ごとに自動的に税が徴収されるわけではありませんのでご注意ください。

「先物取引に係る雑所得等」に対する税率は、金額によらず、20%(所得税15%、住民税5%)となっています。(※)
また、「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」の特例を受けることができます。

※ 東日本大震災による特例のため、平成25年から平成49年までの25年間は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます。
よって、「先物取引に係る雑所得等」に対する税率は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となります。



◆ 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
先物取引にかかる雑所得等について、所得金額を計算してマイナスとなった場合、
確定申告時に所定の書類を提出することにより、その損失額を3年間繰り越すことができます。

たとえば、前年に100万円の損失を繰り越し控除していた場合、今年の利益から100万までは相殺できるということです。
ただし、繰越控除を適用する期間中は、たとえ取引がなくても確定申告をする必要があります。

▼ 損失を繰り越せる期限
損失を繰り越すことができるのは、翌年以降3年間です。
平成26年度分の損失は、平成29年度までです。
平成25年度分の損失は、平成28年度までです。
平成24年度分の損失は、平成27年度までです。
平成23年度分の損失は、平成26年度までです。
平成22年度分の損失は、平成25年度までです。
よって、平成26年度(2014年)の所得計算では、平成22年以前からの損失と相殺することはできないことになります。

▼ 繰越控除を差し引く順番
前年から繰り越された損失のうち、最初に差し引いていくのは、一番古い年の損失からです。
平成26年度の所得計算では、
『平成23年度分の損失 → 平成24年度分の損失 → 平成25年度分の損失』 の順番で差し引いていきます。

▼ 差し引くことができなかった残りの損失
当年の利益と前年からの損失を相殺した結果、それでも前年から繰り越した損失に残りがある場合、
2年以内の損失のものは翌年度に繰り越すことができます。
例えば平成26年度の所得計算では、平成24年度分の損失と平成25年度分の損失は、平成27年度へ繰り越すことができます。)



◆ 先物取引に係る雑所得等の金額の計算方法
先物取引に係る雑所得等の金額の計算は、以下のようになります。


◆ 先物取引に係る雑所得等の金額の計算例



■ 所得計算の全体の流れ

カバードワラントだけでなく、他の所得を含めた所得税の計算は以下のような流れとなっています。