株主優待にかかる税金

平成26年度(2014年度)版について記載。


ページ内目次:
■ 株主優待とは ■ 税法上の取り扱い ■ 株主優待の評価額について
■ 確定申告について ■ 雑所得の計算 ■ 雑所得の税金

■ 株主優待とは

株券の発行会社が、株主へ配当金とは別にプレゼントしてくれる自社製品や割引券、優待券、米などを総称して、株主優待といいます。
株主優待も課税対象のひとつです。



■ 税法上の取り扱い

通常、配当金は、法人の確定した利益から配当されるものです。
しかし、株主優待は法人の利益の有無に関わらず供与されているものが多く、その場合は「利益の分配」である配当所得とは
その源泉が異なります。
そこで、所得税の基本通達(24-1 , 24-2)では、
株主優待をどのような経理処分をしたかによって、配当所得になるのか雑所得になるのかを区分しています。

参考HP : 
国税庁 法第24条《配当所得》関係

つまり、株主優待は非課税と書いているサイトがありますが、まったくの嘘です。
あと、自分で使う分なら非課税、売却した時点ではじめて課税されるというのはどこにも明記されていません。



*参考までに・・・
ほとんどは、利益処分として経理していないので雑所得になります。
給与所得者が給与以外に20万円を超える所得がある場合は、確定申告の義務があります。
注意しましょう。



■ 株主優待の評価額について

国税庁や税務署等での明確な回答が書かれたサイトを見つけることはできませんでしたので、以下のことは個人的な意見になります。

あくまでも個人的な意見(妄言)だからな!

1万円分の株主優待は、1万円の収入?
   「1万円分」って書いているからそうでしょう。 どーみても9000円には見えません。

商品を受け取ったけど、これはいくら?
   難しいですね。
   ここが株主優待が税金の対象になるのかを曖昧にしている原因のひとつでしょう。 と話をそらしてみる。

10%引きってあるけど、その時々によって変わるよね?
   企業会計原則では、「正規の簿記の原則」や「明瞭性の原則」というものがあり、割引も立派な経済活動のひとつです。
   そのため、仕入れ割引とかで、実際に割引いた金額を仕訳帳に記載しています。
   よって、実際に割り引かれた金額が株主優待の金額になります。

オークションで1万円分の株主優待が7000円で売れたから、7000円でOK?
   一連の流れで行くと、
     1万円の株主優待を得た。 = 雑所得として、1万円の収益。
     それを7000円で売却した。= 短期譲渡所得として3000円の損失。 現金として7000円手元に入った。
   になります。

有効期限のある株主優待を使わなかったから0円ですよね?
   株主優待を使うかどうかはあなた個人の問題です。
   それに、株主優待を発行した会社のほうは経理処理して、受け取った方は期限過ぎたから処理しないって、金の流れ的におかしいでしょ。
   でも、実質的に利益供与を受けていないのに、税金を支払うのはおかしいよね。
   どっちも言い分が正しそうで自分でもよくわかりません。



■ 確定申告について


◆ 所得税の確定申告
基本的に、納付すべき所得税額がある場合は、確定申告は必要です。

「納付すべき所得税額」というのは、正確には、「所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合(法120@)」のことですが、
税額控除で配当控除以外は、外国税額控除や措置法による税額控除で、これらは申告することによって認められています。

ただし、サラリーマンにおいては、以下のような例外などに該当する場合、確定申告は不要となります。
無職の人や主婦、自営業者などは、サラリーマンではないのでこれには該当しません。 

給与所得者について、給与・退職以外の所得が20万円以下であった場合
  毎月、給料やボーナスから所得税が源泉徴収され、年末調整を行った給与所得者(派遣社員、契約社員、パート、
  アルバイトふくむ)は、所得税の確定申告をする必要はありません。

  ただし、年末調整を行った給与所得者でも、確定申告をしなければならない条件の一つとして、
  「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
  というのがあります。

  つまり、「1つの会社だけから給料をもらっている人で、給料・ボーナス、退職金以外に収入がある場合、
  それを所得(収入ではない)として計算した結果、20万円を超えていた時は、年末調整をしていても確定申告
  しなければならない」
  ということです。
  逆に言えば、20万円以下ならば、確定申告はしなくても良いということです。

  「給与所得及び退職所得以外の所得」としては、
  株や投資信託の売買、信用取引、先物取引、FX、外貨預金などの金融商品から派生する収入だけでなく、
  満期生命保険の一時金やオークションでの売買、懸賞金、土地や建物の売却なども該当します。
  これらを、それぞれ該当する所得の中で所得金額を計算し、その合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要となります。
  よく株で20万円を超えて儲かったら確定申告が必要だといわれるのは、この条件のことです。

  ただし、確定申告が不要な条件としては上記以外にもあります。
  たとえば、「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は、上記に該当していても確定申告は必要になります。
  かならず、国税庁のHPなどで確認をしてください。

参考HP : 
国税庁 タックスアンサー (No.1900 サラリーマンで確定申告が必要な人)

◆ 住民税の確定申告
住民税については、上記のような特例はありません。
利益があれば、確定申告が必要となります。
とはいえ、所得税の確定申告を基に住民税も計算されますので、20万円以下だったので所得税の確定申告しなかった人が
住民税だけ確定申告するって・・・聞いたことがありません。



■ 雑所得の計算

◆ 雑所得となるもの
会社が利益処分として処理しなかった株主優待については、雑所得になります。
そのほかに雑所得に該当する収入や損失がある場合は、雑所得の計算方法に注意をしてください。
株主優待が20万円を超えていても、雑所得を計算した結果20万円以下となり、確定申告が不要にあることもあります。

雑所得として分類されるものとしては、以下のようなものがあります。



◆ 雑所得の計算
雑所得の計算は、公的年金等とそれ以外に分けて計算されます。
雑所得扱いとなる株主優待の場合は、雑所得の計算の中では、公的年金等以外の「その他」として計算をします。

◆ 雑所得の計算例



■ 雑所得の税金

雑所得は、総所得金額として、他の所得と一緒にして計算されます。
総所得金額に該当する所得としては、ほかに、配当所得、給与所得、譲渡所得、事業所得、不動産所得などがあります。

課税は、総所得金額全額に対してではありません。
詳細は省略しますが、
まずは、総所得金額のうち、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得に損失がある場合は、総所得金額の中で損益通算をします。
つづいて、総合長期譲渡所得と一時所得については、その所得の金額を×1/2とします。
そして、前年度からの純損失の繰越控除や雑損失の繰越控除があれば、それらを差し引きます。
最後に、医療費控除や社会保険料控除などの所得控除を差し引きます。
その結果が課税対象となります。(課税総所得金額といわれています)

課税総所得金額については、超過累進税率が適用されます。
超過累進税率とは、その所得の金額に応じて税率が段階的に異なる税の仕組みのことで、所得税では、5%〜40%となります。