先物取引にかかる税金(差金決済の場合)
平成26年度(2014年度)版について記載。
ページ内目次:
■ 先物取引の範囲
先物取引、有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、取引所金融先物取引が、
先物取引の範囲となっています。
金や原油など国内の商品取引所で行われる商品先物取引、日経225先物、オプション取引や国債先物取引などの
有価証券先物取引、カバードワラント、FX、CFDなどが該当します。
■ 先物取引の取り扱い
先物取引を差金決済したものについては、税法上、「先物取引にかかる雑所得等」という所得区分になります。
受渡決済(現受けまたは現渡し)については、譲渡所得(総合短期譲渡所得または総合長期譲渡所得)となります。
このページでは、差金決済した場合として説明します。
同じ「先物取引にかかる雑所得等」に該当するもの同士は、損益通算が可能です。
たとえば、カバードワラントの売却益とFXの損失を損益通算することはできます。
しかし、「先物取引にかかる雑所得等」以外の所得に該当する損益との損益通算はできません。
たとえば、上場株式等の売却益と先物取引の損失を損益通算することはできません。
他の金融商品との関係は以下のようになっています。
■ 先物取引に対する課税方式と税率
「先物取引にかかる雑所得等」に対しては、その差益に対して20%(所得税15% + 住民税5%)の申告分離課税が適用されます。
取引のたびに徴収されるのではなく、確定申告時に納税します。
申告分離課税とは、確定申告時に他の所得とは分けて計算し、税率をかけて課税することです。
損失があった場合、確定申告をすることによって「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」の特例を受けることができます。
ただし、東日本大震災による特例のため、平成25年から平成49年までの25年間は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます。
よって、「先物取引に係る雑所得等」に対する税率は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となります。
■ 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
先物取引にかかる雑所得等について、所得金額を計算してマイナスとなった場合、
確定申告時に所定の書類を提出することにより、その損失額を3年間繰り越すことができます。
たとえば、前年に100万円の損失を繰り越し控除していた場合、今年の利益から100万までは相殺できるということです。
ただし、繰越控除を適用する期間中は、たとえ取引がなくても確定申告をする必要があります。
▼ 損失を繰り越せる期限
損失を繰り越すことができるのは、翌年以降3年間です。
平成26年度分の損失は、平成29年度までです。
平成25年度分の損失は、平成28年度までです。
平成24年度分の損失は、平成27年度までです。
平成23年度分の損失は、平成26年度までです。
平成22年度分の損失は、平成25年度までです。
よって、平成26年度の所得計算では、平成22年以前からの損失と相殺することはできないことになります。
▼ 繰越控除を差し引く順番
前年から繰り越された損失のうち、最初に差し引いていくのは、一番古い年の損失からです。
平成26年度の所得計算では、
『平成23年度分の損失 → 平成24年度分の損失 → 平成25年度分の損失』 の順番で差し引いていきます。
▼ 差し引くことができなかった残りの損失
当年の利益と前年からの損失を相殺した結果、それでも前年から繰り越した損失に残りがある場合、
2年以内の損失のものは翌年度に繰り越すことができます。
例えば平成26年度の所得計算では、平成25年度分の損失と平成24年度分の損失は、平成27年度へ繰り越すことができます。)
参考HP : タックスアンサー (No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除)
■ 先物取引にかかる雑所得等の金額の計算方法
先物取引にかかる雑所得等の金額は、以下のように計算されます。
◆ 先物取引にかかる雑所得等の計算例
■ 確定申告について
◆ 所得税の確定申告
基本的に、納付すべき所得税額がある場合は、確定申告は必要です。
「納付すべき所得税額」というのは、正確には、「所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合(法120@)」のことですが、
税額控除で配当控除以外は、外国税額控除や措置法による税額控除で、これらは申告することによって認められています。
ただし、サラリーマンにおいては、以下のような例外などに該当する場合、確定申告は不要となります。
無職の人や主婦、自営業者などは、サラリーマンではないのでこれには該当しません。
給与所得者について、給与・退職以外の所得が20万円以下であった場合
毎月、給料やボーナスから所得税が源泉徴収され、年末調整を行った給与所得者(派遣社員、契約社員、パート、
アルバイトふくむ)は、所得税の確定申告をする必要はありません。
ただし、年末調整を行った給与所得者でも、確定申告をしなければならない条件の一つとして、
「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
というのがあります。
つまり、「1つの会社だけから給料をもらっている人で、給料・ボーナス、退職金以外に収入がある場合、
それを所得(収入ではない)として計算した結果、20万円を超えていた時は、年末調整をしていても確定申告
しなければならない」
ということです。
逆に言えば、20万円以下ならば、確定申告はしなくても良いということです。
「給与所得及び退職所得以外の所得」としては、
株や投資信託の売買、信用取引、先物取引、FX、外貨預金などの金融商品から派生する収入だけでなく、
満期生命保険の一時金やオークションでの売買、懸賞金、土地や建物の売却なども該当します。
これらを、それぞれ該当する所得の中で所得金額を計算し、その合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要となります。
よく株で20万円を超えて儲かったら確定申告が必要だといわれるのは、この条件のことです。
ただし、確定申告が不要な条件としては上記以外にもあります。
たとえば、「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は、上記に該当していても確定申告は必要になります。
かならず、国税庁のHPなどで確認をしてください。
参考HP :
国税庁 タックスアンサー (No.1900 サラリーマンで確定申告が必要な人)
◆ 住民税の確定申告
住民税については、上記のような特例はありません。
利益があれば、確定申告が必要となります。
とはいえ、所得税の確定申告を基に住民税も計算されますので、20万円以下だったので所得税の確定申告しなかった人が
住民税だけ確定申告するって・・・聞いたことがありません。