上場株式等にかかる税金
平成26年度(2014年度)版について記載。
ページ内目次:
■ 上場株式等の範囲
株式等では、「上場株式等」と「上場株式等以外」に分類されます。
上場株式等とは、上場株式、公募株式投資信託、ETF(上場株式投資信託)、J-REIT(上場不動産投資証券)などです。
自分が取引しているものが上場株式等に該当するかどうかは、証券会社へ確認してください。
多くの投資家は、証券会社を通じて上場株式等の現物取引や信用取引を行っていますので、このホームページでは
上場株式等について説明したいと思います。
参考HP :
国税庁 上場株式等とは
■ 上場株式等の売買から発生する損益
上場株式等の取引では、1. 譲渡損益、 2. 配当や収益の分配金、 3. 株主優待が発生します。
このページでは、1. 譲渡損益に対する税金のことを説明しています。
配当等については、配当にかかる税金のページを、
配当控除については、配当にかかる税金のページか、配当控除のページを、
株主優待については、株主優待にかかる税金のページを参照してください。
■ 上場株式等の取引における口座について
上場株式等の取引を行う場合、証券会社等に口座を開きますが、大きく一般口座、特定口座、NISA口座というものがあります。
どの口座で上場株式等の取引を行うかによって、課税方式や税率、特例の利用可否が変わってきますのでご注意してください。
以下、各口座ごとの税制を簡単にまとめた表となります。
■ 特定口座
特定口座の源泉徴収口座を利用した上場株式等の譲渡、特定口座の源泉徴収口座を受け取り先にしている上場株式等
の配当や収益の分配金については、源泉徴収された後に確定申告不要を選択することができます。
◆ 特定口座とは
証券会社や銀行などに特定口座を開設した場合、その特定口座を通じて行った取引については、顧客に代わって損益
計算してくれます。
また、源泉徴収口座を選択すると、顧客に代わって証券会社等が税金(所得税、住民税)を計算して代行納付もしてくれます。
特定口座で取り扱っているものとしては、現物株式や投資信託、信用取引などがあります。
(証券会社によって細かいところは違うようです。)
対象になる取引は、特定口座で取り扱っている商品の売買に対する損益です。
また、配当や収益の分配金についてその受け取り方法として特定口座の源泉徴収口座を選択すると、これらも対象になります。
それにより、上場株式等の売却損と配当や収益の分配金の損益計算が源泉徴収口座内で行われますので、
上場株式等の譲渡損失との損益通算のために確定申告をする必要がなくなります。
◆ 特定口座の種類
特定口座には、簡易申告口座(源泉徴収なし)と源泉徴収口座(源泉徴収あり)の2つの種類があります。
毎年、最初に取引を行う時までにどちらの口座にするか選択をすることができます。
ただし、年の途中での変更はできません。
また、証券会社等ごとに特定口座の種類を決定することができます。
簡易申告口座の特徴
・ 証券会社が顧客に代わって、特定口座を通じて売却した上場株式等の譲渡や信用取引などの損益を計算します。
・ その結果が記載された「特定口座年間取引報告書」が送られてきます。
・ 証券会社等は、税金(所得税、住民税)の計算や源泉徴収(または還付)をしません。
・ 顧客は確定申告の義務があります。(給与所得者で年20万以下の利益の場合は確定申告不要などの特例もあります。)
・ この口座では、「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算」を適用することができません。
・ 確定申告をすると、「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けることができます。
源泉徴収口座の特徴
・ 証券会社が顧客に代わって、特定口座を通じて売却した上場株式等の譲渡や信用取引などの損益を計算します。
・ その結果が記載された「特定口座年間取引報告書」が送られてきます。
・ 証券会社等は、投資家への支払いの前に、あらかじめ取引ごとに税金(所得税、住民税)を計算して源泉徴収(または還付)をします。
・ この口座を配当の受け入れ先としている場合は、「上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通算」の適用を受けることができます。
・ 顧客は確定申告不要を選択することができます。 (図の※1)
・ 確定申告をすると、「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けることができます。
◆ 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算
上場株式等の配当、株式投資信託の収益の分配金(特別分配金を除く)の受け入れ先として、特定口座の源泉徴収口座
を選択した場合、その口座内で上場株式等の譲渡損失と配当・分配金を相殺することができます。
ただし、
・ 譲渡損失が配当・分配金を超える場合、残った譲渡損失は自動的には繰り越しされません。 繰り越すためには確定申告が必要です。
・ その口座以外の口座にある譲渡損失や配当・分配金と損益通算したい場合は、確定申告が必要です。
■ NISA口座
あとで。
■ 上場株式等の売買にかかる税金
◆ 税法上の取り扱い
確定申告を行う場合、「株式等の譲渡所得等」として他の所得と区分して計算します。
「株式等の譲渡所得等」の所得に該当する損益は、他の所得に該当する損益と損益通算はできません。
◆ 課税方式と税率
確定申告する場合、口座に関係なく「株式等の譲渡所得等」という所得区分になります。
「株式等の譲渡所得等」には、上場株式等だけでなく、上場株式等以外も含まれます。
「株式等の譲渡所得等」は、申告分離課税が適用されます。
申告分離課税とは、確定申告時に他の所得と分類して計算し、他の所得とは異なる税率を適用するということです。
「株式等の譲渡所得等」に対する税率は、20%(所得税15%+住民税5%)となっています。
(平成25年までは、上場株式等に対しては10%(所得税7%+住民税3%)でした。)
なお、東日本大震災による特例により、平成25年から平成49年までの25年間は、所得税率に対して2.1%の復興特別所得税がかかる
ようになっていますので、所得税率は15.315%となっています。
◆ 「株式等の譲渡所得等」の金額の計算方法
株式等の譲渡所得等の金額の計算方法は、以下のようになります。
適用される特例が異なりますので、同じ所得区分でありながら上場分とそれ以外の2つに分けて計算しなければなりません。
◆ 「株式等の譲渡所得等」の金額の計算例
■ 確定申告について
◆ 所得税の確定申告
株式等の配当等で確定申告(総合課税または申告分離課税)を選択したもの、NISA口座や特定口座の源泉徴収口座以外で売買
したものは、基本的に利益があった場合は確定申告は必要です。
ただし、サラリーマンにおいては、以下のような例外などに該当する場合は所得税の確定申告は不要となります。
無職の人や主婦、自営業者などは、これには該当しません。 個々の状況(主に所得控除)に応じて確定申告が必要か
どうかで変わってきます。
@ 給与所得者について、給与・退職以外の所得が20万円以下であった場合
毎月、給料やボーナスから所得税が源泉徴収され、年末調整を行った給与所得者(派遣社員、契約社員、パート、
アルバイトふくむ)は、所得税の確定申告をする必要はありません。
ただし、年末調整を行った給与所得者でも確定申告をしなければならない条件の一つとして、
「1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人」
というのがあります。
分かりやすく言うと、「1つの会社だけから給料をもらっている人で、給料・ボーナス、退職金以外に収入がある場合、
それを所得として計算した結果20万円を超えていた時は、年末調整をしていても確定申告しなければならない」
ということです。
つまり、20万円以下ならば確定申告はしなくても良いということです。
「給与所得及び退職所得以外の所得」としては、
株や投資信託の売買、信用取引、先物取引、FX、外貨預金などの金融商品から派生する収入だけでなく、
満期生命保険の一時金やオークションでの売買、懸賞金、土地や建物の売却なども該当します。
これらをそれぞれ該当する所得の中で所得金額を計算し、その合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要と
なります。
ということは、特定口座の源泉徴収口座を利用していなくても税金を支払う必要がなく、実質非課税となります。
ただし、確定申告不要になるためにはその他にも条件があります。
たとえば、「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は、上記に該当していても確定申告は必要になります。
かならず、国税庁のHPなどで確認をしてください。
参考HP :
国税庁 タックスアンサー (No.1900 サラリーマンで確定申告が必要な人)
A 特定口座の源泉徴収口座を利用して、税金を納付する場合
源泉徴収口座を利用することにより、証券会社が税金分を代行納付しているので確定申告は必要ありません。
ただし、@のように、20万以下の利益であっても税金は徴収されますので注意してください。
確定申告しても戻りません。(もともと納付すべき税金なので)
◆ 住民税の確定申告
住民税については、@のような特例はありません。
利益があれば確定申告が必要となります。
ただし、特定口座の源泉徴収口座を利用している場合は所得税とともに住民税も代行納付されていますので
確定申告は不要になります。